デ・パルマの過剰さ、あるいは極私的ベスト映画について(カット職人・林)



こんにちは、カット職人・林です。


僕モテメルマガでは新作のことしか原稿にしないので、
今回はちょっと旧作について書いてみます。


この夏は、勝手に「ヒッチコックとデ・パルマを勉強しよう」というのを自分に課していまして、
ひらすらDVDやBDで彼らの作品を見なおしています。

ヒッチコックにいたっては、BD・BOXを持っているのに、
ほとんど見てない、という状態だったので、
トリュフォーがインタビュアーの『映画術』をお供に、シコシコと学んでいます。


さて。
ヒッチコックに関しては、様々な書籍が出ているのですが。
問題はブライアン・デ・パルマです。
参考となる書籍が少ないこと、少ないこと。

僕が調べた限りでは2冊あるんですが、どちらも絶版でした。

まずは映画秘宝コレクションの中の1冊。

▼『ブライアン・デ・パルマ―World is yours』
でぱるま


<内容>
全身映画監督ブライアン・デ・パルマのすべて。デビュー作から最新作「ブラック・ダリア」まで前作レビュー。「スプリット・スクリーン」「360度パン」「スローモーション」デ・パルマ・マジック徹底分析。「キャリー」「スカーフェイス」「ファントム・オブ・パラダイス」など傑作大検証。

これはこれでとても面白そうなんですが、
カット職人的に目がとまったのは、次の1冊です。


『デ・パーマ・カット』ローラン・ブーズロウ著
でぱるま2


「パーマ」という表記が時代を感じさせますが、
その後に続く言葉が「カット」!

この本、1989年に出版されているんですね。
(ちょうど、デ・パルマの黄金期後!)

で、取り寄せて、今読んでいる最中なんですが、
きちんと「デ・パルマ」の「カット」を分析している素晴らしい本でした。

イントロダクションに『殺しのドレス』の、
デ・パルマが書いたとされる
オリジナル・ファースト・シーンが載っていたりします。

ちょっと引用すると……

=================
超クロースアップ
剃刀が磨かれる。

超クロースアップ
剃刀が右の頬を剃る。

超クロースアップ
剃刀が唇のまわりを剃る。

超クロースアップ
剃刀が左の頬を剃る。

超クロースアップ
剃刀が顎を剃る。

超クロースアップ
剃刀喉を剃る。

================

こんな風に1カット1カットが具体的に提示されるのです。
古本で安く購入できるので、オススメです。


さて。
デ・パルマの作品を見なおしていて、ぶっ飛んだのが
『ボディ・ダブル』です。

もうとにかく、カット演出がしつこいんですね。
まぁ、簡単に言うとヒッチコックの『裏窓』と『めまい』を足して2で割ったような映画なんですが、
過剰すぎて、笑ってしまいます。

例えば、主人公が双眼鏡でセクシーな美女のダンスを覗く、というカットがあるんですが、
これが本当にしつこい。

→双眼鏡に映し出される美女
→それを覗く男

というカットが10回以上繰り返されるんですね。
10回ですよ。
こんなの2〜3回見せれば、充分に伝わるのに、
デ・パルマは10回繰り返す。

この過剰さは何なんでしょう。
もはやリアリティーを超えて、ただの「エロい尺」と化しているんですが、
このカットをどこかで観たことあるな〜と思っていたら、記憶が蘇りました。

おそらく小学校高学年だったと思います。
深夜、両親にバレないようにこっそりと起きて、
深夜テレビを見ていたときです。
当時は、人生で最もエロに敏感な時期ですから、
そんなカットがテレビにうつっていると釘付け状態。
そこで、先ほどの

→双眼鏡に映し出される美女
→それを覗く男

というカットの繰り返しを私は見ていたのです。
それをいきなり思い出しました。

「あ! あの時、見ていたの『ボディ・ダブル』だったのか!!!」

小学生の私としては、当時そのカットを「しつこいな〜」なんて思いません。
「なにやら見てはいけないものが写し出されている」
まぁ、ただのエロい映像なんですが、ただただ食い入るように見ていました。

そう、デ・パルマのしつこいカッティングが20年という時を超えて、
記憶の奥底に眠っていたんですね。
そう思い出してから、『ボディ・ダブル』のカットが、
「ああ、これも見たことがある」「覚えている」「ああ、エロい」
と、次々と身体の中に入ってくるのが分かりました。

そして、自分の中の「エロさ」というモノの原点が、
この『ボディ・ダブル』という映画にあることすら、理解しました。

大人になって、興奮したり、恥ずかしいと感じたり、
「ここ、なんかエロいロケーションなだ〜」と思うことなど、
すべての性癖や趣向が、この映画に登場することが、いまさら分かったのです!

ヒッチコックをマジメに勉強しようとしていたはずなのに、
自分の性癖やエロの原点に回帰するとは思いませんでした。

以上、突如『ボディ・ダブル』が極私的ベストに浮上してきた、というとりとめもない話でした。
なんか、さーせん。



さて。
明日配送号ではフィンランドからやってきたドキュメンタリー作品
『365日のシンプルライフ』という映画のカット数を数えて、報告しています。
実人生にかなりの影響を与える映画でして、私も映画を見終わった後、
あることを早速行動にうつしました。
映画は現実を変える力がある、と改めて認識しました。
詳細は、是非メルマガで、
明日配送をお楽しみに。


僕モテ、リアルイベントも8/31(日)に迫ってきました。
Podcastでも発表しましたが、お題は
『イントゥ・ザ・ストーム』

この作品をお台場シネマメディアージュで観なくてはなりませぬ。
(詳細はPodcastを是非!)
夏休みにお台場かぁ〜。
行きますよ!

是非、みなさんもお台場シネマメディアージュで『イントゥ・ザ・ストーム』を観て。
8/31に下北沢でお会いしましょう!

では。

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