『ジョーカー・ゲーム』リアル・ワンカットレポート(カット職人・林)



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【特別公開】  『ジョーカー・ゲーム』リアル・ワンカットレポート
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 こんにちは、カット職人の林です。
 今回は『ジョーカー・ゲーム』公開直前ということで、
 1年前にメルマガで掲載した原稿を一部、特別にお届けします。

 およそ1年前、我らがメルマガ執筆陣(上鈴木伯周&大川編集長&わたくし)は
 『ジョーカー・ゲーム』撮影現場にお邪魔していました。
 映画の1カットがどんな風に出来上がるのか?
 を具体的に見てきましたので、そのレポートになります。

 題して……「リアル・ワンカットレポート」!!

 ***

 その現場とは、インドネシア・バタム島で撮影が行われている
 入江悠監督作品『ジョーカー・ゲーム』。
 わたくしがお邪魔した日は、すでに2/3ほどの撮影が終了している状態で、
 つまりは2/3のカットが撮り終わっていた。

 当たり前の話だが、カットというのは撮るのが「大変なカット」と「簡単なカット」がある。
 爆発するカットや、人物の動きの入り乱れたカット、
 極端な長回しカットなどは当然、「大変なカット」である。
 こういったカットがどういう風に生成されるのか? にももちろん興味があるが、
 わたくしは今回、と〜〜〜っても地味なカットに注目した。
 おそらく劇場では誰の印象にも残らない、だけれどもそのカットがなければ
 映画は成立しない。そんな日陰のカットがどう生成されるかを具に観察してきた。

 なぜ、そんな地味なカットをレポートするのか?
 それは、その地味なカットの積み重ねが映画を支えているからとしか言いようがない。
 逆に言うと、地味なカットをサボるとその他部分のリアリティが失われてしまう。
 いくら派手な部分が素晴らしかったとしても、細部がダメであればその世界に乗れない。
 神は細部に宿る、と言われるが、その言葉を借りるなら、
 わたくしカット職人としてはこう言いかえたい。

 【神は地味なカットに宿る】

 この『ジョーカー・ゲーム』という映画は、地味なカットをどう撮影しているのか。
 具体的に説明するわけにはいかないので、似たようなシーンで例えることにしよう。
 それはこんなシンプルなシチュエーションだ。

 ++++++++++++
 ○駒木根邸・門(夜)
    車に乗った上鈴木と、バイクに乗った森下がやってくる。
 ++++++++++++

 脚本上では、これだけの短い1カットだ。おそらく2~3秒だと推測される。
 現場では、まずこんな声が響き渡った。

 「は〜い、まず2人がこっちにやってくる、っていうカット撮りま〜す」

 おそらく助監督のかけ声であろう。
 このカットが「2人がこっちにやってくるカット」であることが端的に明示される。
 そして、上鈴木が車に乗り込む。
 森下もバイクにまたがって、リハーサルがスタート。

 上鈴木がアクセルをふかし、車が出発。と同時に森下もバイクを発進。
 車とバイクが門の前で停止。

 「はい、もう1回いきま〜す」

 ちなみに、『ジョーカー・ゲーム』の時代設定は1930年代前後であろうか。
 車やバイクは当時のモノが再現されている。
 車のスピードが少し遅かったので「もう少し速く走ってくれ」と
 スタッフが上鈴木に指示した後、2回目のリハーサルへうつる。

 (中略)

 ここで忘れてはならないのは「これらすべては嘘」だということ。
 映画とは、カットという嘘を積み重ねるメディアなのだ。
 
 「それじゃ、本番いきま〜す」

 2回のリハーサルを終え、いよいよカメラが回る本番へ。
 車に乗ったままの上鈴木はバックして定位置へ。
 バイクに乗った森下は笑顔で、定位置へ走る。
 
 そして、カメラが回る。

 「レディ、アクション!」

 車とバイクが門の前へ。動きは完璧だ。

 「OK! もう1回!」

 2回目の嘘に向けてスタッフが動く。
 照明の調整、バイクのエンジンの確認などなど。
 そして、TAKE2。

 今度はバイクの停止位置が少し左にズレたようだ。
 バイクが左にズレてはいけないのか。
 そこに正解はない。
 どのカットにOKを出すのか、そこにも正解はない。
 ただ1つ言える基準としては「そのカットがどれだけ現実に近づいたか」ではなく、
 「そのカットをどれだけ現実のように観客に感じさせるか」であろう。

 現実をそのまま写したカットが、リアリティがあるわけではない。
 それは1年間カットを数えてきた職人としての実感だ。
 もし、この地味で短いカットに意味があるとすれば、
 これから展開されるであろうスペクタクルなカット前の助走としての意味だけ。
 誰もこのカットに感動しないし、記憶にも全く残らない。
 だけれども。
 だからこそ、このカットは決定的に重要なのだ、
 そう思っている人物が最低でも1人いなければ、このカットはいらない。

 カメラが回り、TAKE3が始まる。
 滞りなくカットがカメラにおさまる。誰もがOKかと思う。

 「もう1回いきましょう」

 カットは「1枚で勝負する絵画」ではない。
 連続して繋がってこそ意味を持ってくる。
 そういったカットの連続性を意識することが客観性だ。
 そのカット連鎖をイメージしている人物が最低でも1人いなければ、このカットはいらない。

 TAKE4。
 カメラが回る直前、アクシデントが起こる。
 車のライトが点灯しなくなったのだ。
 前述の通り、古い車種を用意しているため予備のライトなどない。
 まさかと思ったが、解決法はこうだった。
 
 ライトを棒で叩く。
 
 その結果、どうなったか。
 ついた。
 ライトは点灯した。原始的な方法だが成功したのだ。
 周囲に和やかなムードが生まれ、スタッフの士気が高まったままTAKE4へ。

 リハーサルも含めると同じ動きを5回繰り返していることになる。
 6回目の嘘となるTAKE4。

 車とバイクが駒木根邸の門へと走り出す。
 車のスピードはこれまでのどれよりも速く、上鈴木のブレーキも的確。
 併走するバイクの森下もぴたりと停車する。

 「はい、OKで〜す!!!!」

 拍手が鳴り響く。
 その場にいる約100人のスタッフ全員による自然発生的な拍手だ。

 劇場で1カットを数えるなんて、あっという間だ。
 右手のボタンを押す。
 たったそれだけ、一瞬の出来事である。

 この地味な1カットの撮影開始から約1時間30分がたっていた。
 準備や俳優の着替えを入れたら、その数倍の時間がかかっているだろう。
 たった3秒の1カットに、1時間30分である。
 このカットに生命は吹き込まれたのだろうか?
 実は、それは誰にも判断できない。
 カットが積み重なり、それを編集し、音楽をつけて、整音をして、色味を調整して、
 完成品がスクリーンに映し出されても、そのカットが正解なのか誰にも分からないのだ。
 観客にだってそれは分からない。

 だが、それが絶対的に分からないからこそ、その1カットに賭けるしかないのだ。
 賭けるからこそ、得るものもあるし、失うものもある。
 カットは意志であり、嘘であり、賭けだ。
 本気で賭けている人物がいるのならばーー
 そんな人物が最低でも1人いるからこそ、その賭けの証人として僕たちは劇場に足を運ぶのだ。

 地味なカットの撮影が終わり、すぐさまスタッフたちは次のカットの準備に入る。
 大がかりな仕掛けや大量の小道具の用意がはじまった。
 どうやら次のカットは、先ほどとは違って派手なカットのようだ。
 スタッフに笑みがこぼれる。
 カットを楽しんで作っている様子が伝わってくる。
 無事、映画のラストカットが撮り終わったら、
 『ジョーカー・ゲーム』のスタッフみんなはどんな笑顔をするんだろう。

 以上、地味なカットを見た男の、地味なリアルワンカットレポートである。
 僕たちは心して、これ以上にワクワクするカットが詰まった映画の完成を待とうではないか。

 ***

 そしてご存じの通り、完成した映画『ジョーカー・ゲーム』は今週末1/31(土)に公開されます。
 是非、どんなカットが実際にスクリーンにうつしだされるのか、
 劇場で目撃して下さい。
 よろしくお願いします!!!!!!!!!!

 ちなみに、わたくしは公開初日にTOHOシネマズ日劇の大スクリーンで鑑賞する予定です。
 スパイ映画は大スクリーンで観ないとね!

 映画『ジョーカー・ゲーム』公式ホームページ
 http://www.jokergame-movie.com/index.html

続・『ジョーカー・ゲーム』 VS カット職人、史上最悪の闘い(カット職人・林)

 
こんにちは、カット職人・林です。

現在、『ジョーカー・ゲーム』 VS カット職人、史上最悪の闘いが勃発中でございます。
 
(詳しくはhttp://bmes.blog.fc2.com/blog-entry-411.htmlをご覧下さい)
 
僕たちのメルマガの運命が【『ジョーカー・ゲーム』の興行収入】で、
わたくしカット職人の看板の行方が、
【『ジョーカー・ゲーム』 VS カット職人、史上最悪の闘い】によって運命が決まるという、
かつてないダブル・クライシス状態。
 
なにやら、ややこしいことになっているので、おさらいしておきましょう。
 
・1/31(土)公開の『ジョーカー・ゲーム』が実写・日本映画で興行収入1位をとらなければ、
 我らが「僕らのモテるための映画聖典」は終了。
 
・監督・入江悠が『ジョーカー・ゲーム』の前半1カ所・後半1カ所に仕掛けたあるカットの秘密を、
 わたくしカット職人・林が見破り、総カット数をピタリ当てられなければ「カット職人」を廃業。
 
 
けっこうなハードルです。
『ジョーカー・ゲーム』をきっかけに、映画好きの方をはじめ、
亀梨和也くんファンの方々など、メルマガの読者さんもグングン増えてきている中、
いきなりの解散の可能性。
 
そして、メルマガで2年間新作映画のカットを数え続けた、
わたくしカット職人・林が廃業の危機。
(カットを一緒に数えている弟子が二人おりますので、その血が途絶えることはないとはいえ!)
 
 
そんな状況の中、わたくしは先日『ジョーカー・ゲーム』完成披露試写会に行って参りました。
 
緊張しました。
なにせ、前述の通りダブル・クライシスが目の前なのです。
映画の出来はもちろん、カットを数えるわたくしの指も震えました。
 
公開前なので、詳しく記すことはできませんが、
その模様を1/21(水)配信のメルマガで書こうと思っております。
 
亀梨和也という男がどうカットに刻まれていたか?
亀梨和也という男は何カットにうつっていたのか?
そして、亀梨和也という男はカットの中でどう動いていたのか?
 
詳しくは『ジョーカー・ゲーム』公開後にメルマガの連載で書くことにしますが、
その前にお伝えできることはできるだけ放出していこうと思います。
 
メルマガ次回配信、カット職人の連載「終わった恋と、映画を数える」では、
【『ジョーカー・ゲーム』 VS カット職人、史上最悪の闘い】をリアルタイムで更新してゆきます。
是非、お楽しみに。
もし未購読の方がいらっしゃいましたら、初月は無料で読めますので、是非よろしくお願いします。
それではメルマガでお逢いしましょう!
 
     

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『ジョーカー・ゲーム』 VS カット職人、史上最悪の闘い



新年明けましておめでとうございます。
カット職人・林です。
本年もよろしくお願いします。

さて。
去年の年末に下北沢B&Bで行われた「第2回モテデミー賞」の会場にて、
当メルマガ主催であり映画監督・入江悠から、
わたくしカット職人・林にある挑戦状が叩きつけられました。
会場にお越しになった皆さまだけへの特別ネタではあったのですが、
それではもったいない!
ということで、当ブログで、その「挑戦状」の一部始終を公開いたします!

スライド01



まず大前提となるのが、今月31日に公開される
亀梨和也くん主演の映画『ジョーカー・ゲーム』。
言うまでもなく、入江悠の監督作品。
そんな彼が、ある男に挑戦状を投げつけてきました。
そのターゲットは……


スライド02



わたくし、カット職人・林賢一。
この2年間、新作映画のカットを数え続けてきた男です。
この挑戦状から遡ること1年前……。


スライド03


メインとなったロケ場所は、インドネシアのバタム島でした。

スライド04


サングラスの奥で、彼はこんなものと闘っていました。


スライド05


そんな中、彼が敢行したこと。

スライド09


ん? あること?
カット職人への挑戦状である。
カットに関する何かであることは分かるんですが、
想像もつきません。

スライド10

スライド11


え〜〜〜〜〜〜!!!!!!
どういうこと!?
日本で俺しかいないはずのカット職人が
数えられないカット!?
いったい、どんなカットなのか?
と、驚いているとすぐさま、
その「数えられない」というカットの仕掛け場所が発表された。


スライド12


映画全体で2箇所も、カットに「ある仕掛け」があるという!


スライド13


舐めんな!


スライド14


見抜いてやるよ!



スライド15


えっ!?(固まる)


スライド16



やばい、肩書きがなくなる!



スライド17




なんか知らないけど、巻き込まれた!



スライド18



わたくし、真ん中w



スライド19


スライド20



以上が、『ジョーカー・ゲーム』からカット職人・林へ送られた挑戦状でした。

既報ですが、この『ジョーカー・ゲーム』が興行収入1位(邦画実写)にならなければ、
僕たちのメルマガは解散します。
(詳しくはhttp://bmes.blog.fc2.com/blog-entry-406.htmlの後半をお聞き下さい)

それに加えて、わたくしは『ジョーカー・ゲーム』のカット数を見極めないと、
「カット職人」という肩書きを剥奪され、「ただの人」に成り下がります。

メルマガ&カット職人、ダブル危機到来です。

この2年間、新作映画のカットを数え続けてきたのは、
この挑戦状を軽々とクリアするためだったのではないか、
とすら、今は思っています。

ハッキリさせておきましょう。

わたくしカット職人・林は『ジョーカー・ゲーム』のカット数を
1つの誤差もなくカウントしてやろうじゃありませんか!

もう一度、言いますよ。

わたくしは世界で唯一のカット職人です。
数えることのできないカットなどこの世に存在しません。

ジョーカー・ゲーム』のカット数、きっかり数えてやんよ!!!!!!

もしできなかったら、カット職人の看板を下ろします。
本気です。




『ジョーカー・ゲーム』 VS カット職人・林

闘いの火ぶたは切って落とされました。

ファーストバトルの日は、あさって1/8(木)、
1000人規模の劇場・東京ドームシティホールで行われる
『ジョーカー・ゲーム』完成披露試写会だ!!!!!!!

1/31の公開前にカット職人・林は、一足先にカットを目撃してきます。
(数えるのは1/31の公開時にお金を払って鑑賞しながら)

わたくしの指が疼いています。
『ジョーカー・ゲーム』を完璧に、完全に数えるために。
待ってろ、亀梨和也。そして、深田恭子。
あなたたちが閉じ込められているカットという空間から、
わたくしカット職人・林が映画の秘密を解き明かし、解放してあげましょう!

メルマガの、そしてカット職人の進退がかかった闘いはすぐそこ。

あ、その前に。
明日配信のメルマガでは『ゴーン・ガール』のカットを数えてきたので、
そのご報告とカット分析をしています。
是非、配信をお待ち下さい。

『ジョーカー・ゲーム』VSカット職人・林、史上最悪の闘い、
公開初日の1/31まであと25日。

では、またメルマガでお会いしましょう!


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デ・パルマの過剰さ、あるいは極私的ベスト映画について(カット職人・林)



こんにちは、カット職人・林です。


僕モテメルマガでは新作のことしか原稿にしないので、
今回はちょっと旧作について書いてみます。


この夏は、勝手に「ヒッチコックとデ・パルマを勉強しよう」というのを自分に課していまして、
ひらすらDVDやBDで彼らの作品を見なおしています。

ヒッチコックにいたっては、BD・BOXを持っているのに、
ほとんど見てない、という状態だったので、
トリュフォーがインタビュアーの『映画術』をお供に、シコシコと学んでいます。


さて。
ヒッチコックに関しては、様々な書籍が出ているのですが。
問題はブライアン・デ・パルマです。
参考となる書籍が少ないこと、少ないこと。

僕が調べた限りでは2冊あるんですが、どちらも絶版でした。

まずは映画秘宝コレクションの中の1冊。

▼『ブライアン・デ・パルマ―World is yours』
でぱるま


<内容>
全身映画監督ブライアン・デ・パルマのすべて。デビュー作から最新作「ブラック・ダリア」まで前作レビュー。「スプリット・スクリーン」「360度パン」「スローモーション」デ・パルマ・マジック徹底分析。「キャリー」「スカーフェイス」「ファントム・オブ・パラダイス」など傑作大検証。

これはこれでとても面白そうなんですが、
カット職人的に目がとまったのは、次の1冊です。


『デ・パーマ・カット』ローラン・ブーズロウ著
でぱるま2


「パーマ」という表記が時代を感じさせますが、
その後に続く言葉が「カット」!

この本、1989年に出版されているんですね。
(ちょうど、デ・パルマの黄金期後!)

で、取り寄せて、今読んでいる最中なんですが、
きちんと「デ・パルマ」の「カット」を分析している素晴らしい本でした。

イントロダクションに『殺しのドレス』の、
デ・パルマが書いたとされる
オリジナル・ファースト・シーンが載っていたりします。

ちょっと引用すると……

=================
超クロースアップ
剃刀が磨かれる。

超クロースアップ
剃刀が右の頬を剃る。

超クロースアップ
剃刀が唇のまわりを剃る。

超クロースアップ
剃刀が左の頬を剃る。

超クロースアップ
剃刀が顎を剃る。

超クロースアップ
剃刀喉を剃る。

================

こんな風に1カット1カットが具体的に提示されるのです。
古本で安く購入できるので、オススメです。


さて。
デ・パルマの作品を見なおしていて、ぶっ飛んだのが
『ボディ・ダブル』です。

もうとにかく、カット演出がしつこいんですね。
まぁ、簡単に言うとヒッチコックの『裏窓』と『めまい』を足して2で割ったような映画なんですが、
過剰すぎて、笑ってしまいます。

例えば、主人公が双眼鏡でセクシーな美女のダンスを覗く、というカットがあるんですが、
これが本当にしつこい。

→双眼鏡に映し出される美女
→それを覗く男

というカットが10回以上繰り返されるんですね。
10回ですよ。
こんなの2〜3回見せれば、充分に伝わるのに、
デ・パルマは10回繰り返す。

この過剰さは何なんでしょう。
もはやリアリティーを超えて、ただの「エロい尺」と化しているんですが、
このカットをどこかで観たことあるな〜と思っていたら、記憶が蘇りました。

おそらく小学校高学年だったと思います。
深夜、両親にバレないようにこっそりと起きて、
深夜テレビを見ていたときです。
当時は、人生で最もエロに敏感な時期ですから、
そんなカットがテレビにうつっていると釘付け状態。
そこで、先ほどの

→双眼鏡に映し出される美女
→それを覗く男

というカットの繰り返しを私は見ていたのです。
それをいきなり思い出しました。

「あ! あの時、見ていたの『ボディ・ダブル』だったのか!!!」

小学生の私としては、当時そのカットを「しつこいな〜」なんて思いません。
「なにやら見てはいけないものが写し出されている」
まぁ、ただのエロい映像なんですが、ただただ食い入るように見ていました。

そう、デ・パルマのしつこいカッティングが20年という時を超えて、
記憶の奥底に眠っていたんですね。
そう思い出してから、『ボディ・ダブル』のカットが、
「ああ、これも見たことがある」「覚えている」「ああ、エロい」
と、次々と身体の中に入ってくるのが分かりました。

そして、自分の中の「エロさ」というモノの原点が、
この『ボディ・ダブル』という映画にあることすら、理解しました。

大人になって、興奮したり、恥ずかしいと感じたり、
「ここ、なんかエロいロケーションなだ〜」と思うことなど、
すべての性癖や趣向が、この映画に登場することが、いまさら分かったのです!

ヒッチコックをマジメに勉強しようとしていたはずなのに、
自分の性癖やエロの原点に回帰するとは思いませんでした。

以上、突如『ボディ・ダブル』が極私的ベストに浮上してきた、というとりとめもない話でした。
なんか、さーせん。



さて。
明日配送号ではフィンランドからやってきたドキュメンタリー作品
『365日のシンプルライフ』という映画のカット数を数えて、報告しています。
実人生にかなりの影響を与える映画でして、私も映画を見終わった後、
あることを早速行動にうつしました。
映画は現実を変える力がある、と改めて認識しました。
詳細は、是非メルマガで、
明日配送をお楽しみに。


僕モテ、リアルイベントも8/31(日)に迫ってきました。
Podcastでも発表しましたが、お題は
『イントゥ・ザ・ストーム』

この作品をお台場シネマメディアージュで観なくてはなりませぬ。
(詳細はPodcastを是非!)
夏休みにお台場かぁ〜。
行きますよ!

是非、みなさんもお台場シネマメディアージュで『イントゥ・ザ・ストーム』を観て。
8/31に下北沢でお会いしましょう!

では。

夏休み・僕モテ課題図書(カット職人・林)



こんにちわ、カット職人の林です。

夏ですね。
夏休みですね。


夏と言えば……

読書でしょう。

わたくし、小学校時代の夏休みは映画を観る習慣などなかったので、
ひたすら図書館にこもって江戸川乱歩の少年探偵団シリーズを読んでいた気がします。
あのポプラ社の装丁が怖くって、怖くって。
でも、読み進めたくて、という矛盾に引き裂かれながら、
ページを夢中にめくっていたことを思い出します。


時は流れて、さすがに図書館で読書をすることはなくなりましたが、
仕事なんてほったらかして喫茶店でただただ読書をするというのは
最高に気持ち良いですね。

あと、映画館での読書も好きです。
はやめに座席について、予告なんて無視してひたすら本を読む。
これも最高ですね。読書からの映画、という最高のコンボでございます。


さて。
夏休み、ということで僕モテ的な課題図書といいますか、
オススメの映画本を紹介したいと思います!!


題して……

「夏休み! 僕モテ課題図書!」




まず一冊目。

『映画の奈落: 北陸代理戦争事件』伊藤彰彦・著

<ざっくりAmazonからの引用>
『仁義なき戦い』を超えようとした脚本家、山口組No.2の肩を越こそうとした極道、二人の男が出会った時、映画の“奈落”の口が開いた…公開後、主人公のモデルの組長が映画と同じシチュエーションで殺害された伝説の実録やくざ映画『北陸代理戦争』(深作欣二監督、高田宏治脚本)をめぐる男たちの戦い。関係者への直接取材と緻密な脚本分析によって浮き彫りにする、映画という魔の奈落に迫るドキュメント!

作者はこれが初めての著作となる伊藤彰彦さん。

これがとんでもなく面白いんです。
ラピュタ阿佐ヶ谷で『北陸代理戦争』を観てから本書を読んだんですが、
優れたシナリオ論にもなっていて、
映画のサブテキストとしても秀逸。
さらに、歴史書としても成立しているという
まさに一粒で三度美味しい状態。
ぜひぜひ、未読の方はこの夏、読んでみてください。


さて2冊目。

『スクリプターはストリッパーではありません』白鳥あかね・著

<ざっくり内容紹介>
新藤兼人・マキノ雅弘監督の現場見習いから始まり、日活黄金期の〈渡り鳥〉シリーズでは斎藤武市、日活ロマンポルノでは神代辰巳の女房役として活躍、またフリーランスの女性映画人として根岸吉太郎、池田敏春ら若い世代と共闘し、その後市民のための映画祭・映画館の設立・活動でも奮闘する――激動の戦後日本映画史を渡り歩き、映画を記録しつづけた女がすべてを語る〈実録白鳥あかね・裸の履歴書〉!


これ今、読んでいる途中なんですが、
すこぶる面白いです。
インタビュー形式なので読みやすいのでオススメです。

なんといっても、タイトルが素晴らしいですよね。
「ストリッパーではありません」ってw
この茶目っ気も含めて、最高。
あと、いま気がついたんですが、
さきほど紹介した『映画の奈落: 北陸代理戦争事件』も本書も
国書刊行会から出版されているんですね。
特に本書は通常の書籍より、ちょっと大きめの判型A5判です。
(わたくしカット職人、この判型が一番好きです)
やるな、国書刊行会!


さてさて、最後の3冊目はクラシックをあえて。

『定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー』

はい、もう定番中の定番ですね。
実はわたくし、恥ずかしながら未読でして、
ずっと本棚にこの本が眠っていました。
なぜか「この夏はヒッチコックを勉強しよう!」と思いたって、
いま絶賛読んでいるんですが、超面白いですね。
「サスペンスとサプライズの違い」とか、いちいち的確すぎます。
残念なのが、わたくしがヒッチコック作品をすべて観ているわけではないので、
一晩に一つ映画を観て、本書のその箇所を読む、という地味な読書法なので、
一考にページが進まないことです。

図版も豊富で、目でも楽しめる。
そして、ヒッチコックのインタビュアーがトリュフォーという信じられない豪華さ。
奇跡の書と言ってもいいんじゃないでしょうか。
まぁ、未読の方はいないと思いますが、この夏、再読してみると新たな発見が絶対にあります。



というわけで、ざっくりとではありますが3冊紹介しました。
僕モテ読者の方でも、それ以外の方でも、公式Twitterやメールでも構わないので
【僕モテ・夏休みの読書感想文】を送っていただけると嬉しいです!


ところで。8/31には僕モテイベントやります。


 『第一回シアターウォッチメン公開収録!』
 出演者:入江悠、森下くるみ、駒木根隆介、上鈴木伯周、山口遥、林賢一、佐藤圭一朗
 日 :8月31日(日曜日)
 時 :19時開始(18時半開場)21時終了予定
 場所:下北沢B&B ( http://bookandbeer.com/
 会費:1500円+1ドリンク


今日、ご紹介した本を読んできて、映画本について現地で語り合う!
なんて最高じゃありませんか!



とはいえ、僕モテの本業はやはりメルマガ。
来週はなんの映画のカットを数えようかしら。

次回配送の8/13(水)にお会いましょう!

以上、カット職人・林でした。
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